ヒューナーテストを受ける(2017年1月)
ヒューナーテストは、子宮と精子の相性を見るテスト。
射精後の子宮内での精子の状態を検査するそうだ。
セックスして、射精後12時間以内に受診しなければいけないというタイミングの難しいテスト。
予約が取れたのは月曜の12時30分。
ということは、日曜深夜0時30分以降に射精しないといけない。
おいおい、早く寝たいのに・・・
「やらなければ」という義務感を伴うと全然盛り上がらないセックス。
一応射精を終えて、翌日臼井医院に行くが、診察室に入れたのはもう13時30分。
そして医師は開口一番
「相性悪いね」
12時間以内に見てもらえなかったことが原因ではないかと自分としては思いたいが、医師によれば、普通は、泳ぎ切っていない精子が残っているはずだが、私の子宮内にも1匹もいなかったとのこと・・・
相性が悪いと、体外受精に進んだとしても着床率が下がるということだった。
体外受精へのモチベーションがあまり上がらない。
私とパートナーはよくケンカをする。
それが分泌物にも出ているんじゃないかと本気で気になった。
さぁ、どうしよう。
臼井医院へ(2016年1月)
日暮里レディースクリニックでは結局イヤな思いをしただけだったが、とりあず紹介状やら検査結果は揃った。
12月に体外受精の勉強会に行き、ここの医師にも意見を聞いてみようと思った臼井医院(不妊治療センター)を1月に受診。
このクリニックの院長(男性)の良いところは私の目をしっかり見て話を聞いてくれるところ。
自分からたくさん説明をしてくれるわけではないが、質問にはきちんと答えてくれるし、イヤな顔もされない。
ただ、検査結果を見た上でのアドバイスはあまり変わらず、
1.FTカテーテル手術で卵管の詰まりを取る
(ただ、臼井医院ではできず、他のクリニックを受診しなければならない)
2.体外受精に進む
このどちらかだろう、とのことだった。
受けたことがないなら、次回ヒューナーテストをやってみましょうか?
と提案されたので、できる検査はやっておこうと思い、数日後の予約を取る。
心が決まるまでの時間稼ぎのようにも思えるが、まぁ、やるだけやる。
帰宅して、FTカテーテルの手術をする際に紹介されるクリニックに電話。
どの程度待つのかを問い合わせたところ、初診まで1か月、その後手術まで2~3か月待ちと回答された。そんなにかかるの!?
卵管の詰まりを取ったところで、卵管の機能自体があるかどうかは、タイミング法や人工授精をして、自然妊娠するか待たなければわからない。
ここまでして「卵管の機能がない」ことがわかったとしたら、かなりの時間ロスだ。
私の場合、FTカテーテルはあまり賢い選択ではないなという気がしている。
モヤモヤする年末年始:その理由(2016年12月~2017年1月)
私はとにかく自分が納得しないと先に進みたくないタイプ。
体外受精を受けるのか受けないのか、どんな決心をするにも様々なハードルが待ち構えている。
1.そもそも子どもがほしい?
「経済的に自立した人間になりなさい」と親に言われて育ち、教育にもずいぶんお金をかけてもらった。
長く学生をやっていたし、社会人になるのも相当遅かった。
でも、この職種では「専門職」と呼ばれる仕事に就いて、不安定な時期は度々あるが自立できている。
パートナーと結婚式を挙げた時、36歳。
平均よりは遅いけれど、これまでの選択にまったく後悔はしていないし、自分の経験に誇りを持って生きている。
焦るつもりもなく「子どもがいたら楽しいかもね」くらいの気持ちで生活していた。
「避妊をやめれば、そのうちできるかな。私健康だから。」なんて持っていた。
でも、いざ卵管閉塞という現実を突きつけられて、自然妊娠できないかもしれないという状況になり、39歳という年齢を考えると「じゃあ急いだ方がいいのかな・・・」というプレッシャーに変わってきたようにも思える。
そして、気持ちが弱くなると、こんな自分が人より劣った存在なのかと思えてしまう。
妊娠、出産だけが自分の価値ではないと、頭ではよーくわかっているのに、「できない」自分がもどかしい。
子どもって、強く望んで、熱心に治療して、授かるものだった?
妊娠ってそこまで過酷なことだったっけ?
2.仕事どうする?働き方どうする?
転職活動中の私。
職種柄、専門嘱託のような契約ベースの仕事がほどんど。
生きるためにお金は稼がないといけない。
うちの場合、生活費はパートナーとすべて折半のため、失業中だから負担減という特例はつくっていない。
彼が転職活動中で収入ゼロだった時も同じようにしていたので、私だけ特別に甘えたくもない。
今の生活レベルを維持するためにはフルタイムの仕事がよい。
でも、不妊治療のために突然休むことが許される職場を今の日本で見つけられるんだろうか?
正直に打ち明けたら採用もしてもらえないだろうし、途中で契約終了なんて可能性もある。
起業したいという目標もあるけれど、すぐにできる状態でもないし。
妊娠のために、これまでのキャリアを捨てる覚悟までしないといけないのだろうか?
仕事か、子どもか、選ばないといけないなんておかしいよね?
3.婚姻届どうする?
私は今の民法や戸籍法に違和感があり、パートナーと事実婚を選んだ。
住民票上では「未届」が付記されるものの、夫婦として登録されているし、現在失業中の私はパートナーの扶養親族として社会保険に加入できている。
2016年10月30日の日経新聞に「事実婚も不妊治療の助成対象に」という記事が掲載され、希望の光が見えたように思えたが、厚生労働省に問い合わせたところ、そのような方針はないとのこと。
なんとガセネタのようだ。
日経に問い合わせたが「記事の情報源は言えない」との回答。
いやいや、厚労省の窓口の女性、「こちらも日経に問い合わせたのですが・・・なぜこのような記事が出たのかわからないです」と言っていたぞ。
不妊治療、事実婚も助成 厚労省が年度内にも要件改正 :日本経済新聞
厚労省には「生まれてくる子どもの法的安定性を重視している」と回答されたが、婚外子差別は既に撤廃されている。
法律婚の両親の方が安定しているなんて根拠はないでしょ?
だったらどうして離婚や虐待が減らないの?
もう20年以上民法改正を応援してきた。
婚外子差別や女性のみの再婚禁止期間の短縮、若干の改正はあったが、夫婦同氏の強制は変わらない。今の政権では変わることも期待できないだろう。
法改正や、厚生労働省の方針変更を待っていられない。
待っていたら出産可能年齢を過ぎてしまう。
でも、助成金をいらないといえるほどの高所得世帯でもないのが現実。
一時的にでも、婚姻届を出さないとならないのだろうか?
じゃあ名前、どうする?
私は自分も姓を変えたくないし、相手を変えさせたくもない。
社会制度を自分に合わせて使いこなすことと、自分の信条にがんじがらめになるのは違う。
わかっているけど、どうしても自分と折り合いがつかない。
こんなことを、ひとつひとつ整理していかないといけないんだ・・・
考えるほどに、ため息ばかり。
スッキリとお正月を迎えたかったけれど、ずーっとモヤモヤしていた私。
再び日暮里レディースクリニックへ(2016年12月)
臼井医院の体外受精の勉強会に参加後、せっかくなら臼井医院も受診してみようと思った。
ひとりで悩み続けても出口が見えないし、少々お金はかかっても、複数の専門家の意見を聞くことに損はない。
検査をいくつか受けた日暮里レディースクリニックで、まだ血液検査の結果が出ていなかったことが気になっていたので、年末ぎりぎりに予約をとって行ってきた。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)、抗精子抗体検査ともに問題なし。
AMHでわかるとされる、現在の卵子の在庫数の値は平均より上のようだったが、私はてっきり、卵子の「在庫数」が「あと何個」とわかるのかと勘違いしていた。
抗精子抗体検査は特に勧められなかったのだが、念のため受けたもの。
女性によっては精子が体内に入ることに免疫があり、異物として受け入れないことがあるらしい。私には幸いそのような抗体はなかった。
説明した医師(男性)にいくつか質問。
私「今後体外受精に進む場合、排卵誘発方法がいくつもあるようですが、私の場合、どのような方法が適しているでしょうか」
医師「その時来てみないとわかりません」
私「クリニックの方針や、おすすめする方法もないのでしょうか」
医師「その人によって違うので」
私「体外受精が必要だとわかってはいるのですが、悩んでいます。重大な決断をそう簡単にはできないし、もっと情報が必要なので、他の医院にも相談したいと思っています。その場合は紹介状を書いてもらった方がよいのでしょうか。どういう方法で受診するのが一番良いのか教えてほしいのですが。」
医師「え?何がほしいんですか?紹介状?それともセカンドオピニオンって書けばいいんですか」
私「いや、私も初めてのことでどうしたらよいのかわからないので、ベストな方法を知りたいだけなんですけど・・・まだ転院すると決めたわけでもないですし・・・」
医師「じゃ、手紙書いときます」
私「いくらくらいかかるでしょうか」
医師「受付で聞いてください(ピシャッ)」
なんか医師が逆ギレ。明らかにイライラ対応された。
二度と来るか!と思って診察室のドアを閉めた。
たいていの患者にとって、不妊治療は初めて遭遇する出来事。
正解のない難題に突き当たってしまって、私はこんなに不安に思っているのに、患者の質問にきちんと答えてくれず、素人が下手に勉強して口出すなという雰囲気。
その人のその時の状態に応じてオーダーメードの治療、というのなら耳障りはたしかに良い。
でも、これだけ検査結果が揃っているのだらか、少なくとも「一般的にはこういう順序の誘発法が考えられますね」とか「こんなスケジュールになりますよ」とか、もっと言い方があるだろうに。
「とにかくすぐに体外受精」という態度は、私の年齢を考慮してのことと理解はするけれど、新しいクリニックゆえに「できるだけ早く実績をつくりたい」焦りもあるだろう。
ただでさえ気持ちが弱くなっている時に、まさかこんな対応を受けるとは、さらにショックだった。
会計の時に受付の女性に「体外受精にステップアップするよう言われたのですが、決めきれなくて・・・」と話したら「そうですよね。最後はご本人が決めないといけないことですからね・・・」と優しく答えてくれたことがせめてもの救い。
このクリニック、受付の人たちはフレンドリーなのだけど・・・
体外受精の勉強会に参加(2016年12月)
臼井医院が定期的に開催する勉強会に参加。
この医院は「不妊治療センター」を冠していて、受診希望者はまず説明会に参加してクリニックの方針などを聞く決まりらしい。
ただ、私の場合、既にタイミング法や人工授精での妊娠可能性が低いと診断されているため、初診者の会ではなく、さらにステップアップする体外受精の勉強会からの参加となった。
土曜の午前中、起きるだけでも一苦労。
パートナーと一緒に医院に行く。
院内はゆったりとして清潔感があり、最近改装されたんだろうな、という印象。
入口と出口が違う、というのも、患者同士あまり顔を合わせないような配慮なのだろう。
会場には15人くらいが来ており、ほとんどがカップル。
勉強会は院長(男性)がスライドを使って体外受精のプロセス、金額を説明していく1時間半くらいの構成だった。
かなり専門用語が出てきて、マニアックな印象も持ったが、クリニックの方針や、これまでの統計、妊娠率を説明してくれるのはありがたいこと。
採卵の際は膣内から注射をするなんて説明はあまりに痛そうで、聞いているだけで性器がうーっとなるような感覚になり、胚の成長には「へー、生命の神秘ってやつか」と、生物の教科書で見たような細胞分裂をまじまじと見た。
受精卵を子宮内に戻した日は安静に、そして自転車とか乗らないように、というアドバイスには「丸いからってそんな簡単にコロっと落っこちてしまうのかな・・・けっこう原始的だな」と笑ってしまった。通院するなら自転車で行こうと思っていたから。
パートナーにとっても体外受精って何?という疑問を解消する良い機会だったようだ。
けっこう真面目に聞いてくれていて、私の方が途中で睡魔に襲われたくらい。
院長が一方的に話して、最後に質疑応答。
私「妊娠した最高齢は?」
院長「45歳」
長年の実績がある、という点では頼れるクリニックなのかもしれない。
自宅から通いやすいのもいいかな。
ただ、排卵誘発のために自分で注射をしたり、頻繁に通院したり。
本当に治療を始めるなら、経済的にも、体力的にも負担が大きいし、時間も取られる。
自分の人生や働き方にも関わってくることだから、そんな簡単に決断できない。
私はその時、ちょうど転職活動中。
体外受精をするならしっかり稼がねば。だったらフルタイムの仕事だろう。
でも仕事を急に休む必要だってある。だったらパート?アルバイト?
いやそれは不安定すぎないか?
体外受精をやるのかやらないか、いったいどんな働き方を選ぶべきなのか
正解がないゆえに、こんな問いがぐるぐるしていた。
ますます悩む。
近所の産婦人科へセカンドオピニオン求む(2016年12月)
卵管閉塞という診断に、私はかなり落ち込んでいる。
じっとしているとますます悪循環なので、まずは情報を得たいと思い、
日暮里レディースクリニックでの検査結果を持って、排卵チェックに通っていた
近所の産婦人科の医師に相談に行った。
ここの医師は中年男性で、質問にはきちんと答えてくれるし、忙しくても
こちらが納得するまで、じっくり付き合ってくれる。
「ボクも日暮里のお医者さんと意見は似ていると思う」
「体外受精を急いだ方がいい、というのは、
産んだ後のことも考えて言ってくれているのだろうけどね」
「隣の区に不妊治療をやっている臼井医院っていう不妊治療専門のクリニックがあるから、聞いてみたら?」
「そうだ、これ貸してあげるよ」
と、全国の不妊治療クリニックが載った本を渡してくれた。
おそらくもう、年1回の区のがん検診くらいしか来ない患者に
本を貸してくれるなんて、ありがたい。
よほど悩み多く見られたのだろうか・・・
そうかぁ。この先生も似たような回答か。
しかし体外受精に進むって、かなりハードルが上がる。お金もかかる。
とにかく情報収集、ということで、この時聞いた臼井医院に電話をした。
「12月末に体外受精の説明会があるので、参加しますか?」
なかなかタイミングがいい!
聞くだけ聞いてみよう。